豊田将樹選手(陸上・400mハードル)が、ドーピング検査で禁止物質(トレンボロン)が検出され、資格停止処分を受けたという事案について、当事務所の工藤洋治弁護士が弁護団(*)の1人として活動し、当職は同弁護士を補助しました。
本事案については、「意図的でなかった」という選手側の主張を認める国内手続の判断に対してWADA(世界アンチ・ドーピング機構)が上訴をしておりましたが、2025年5月28日、CAS(スポーツ仲裁裁判所@スイス・ローザンヌ)の仲裁パネルが、WADAの上訴を棄却する(すなわち選手側の主張を認める)との決定を下しました。
資料1は、本事案の経過と、CAS決定のポイントを簡潔にまとめたものです。
資料2は、CASの決定文のうち、豊田選手の証言内容・態度や多数の間接事実についての検討・評価が述べられた部分の、原文と和訳(工藤・林による和訳)です。
資料3は、CASの決定文のうち、本事案に適用される判断枠組みと判断基準について述べられた部分の、原文と和訳(同上)です。
本事案は、「理論的には可能」だが「可能性は極めて低い」とJADA CODE(日本アンチ・ドーピング規程)に明記されている、「体内侵入経路を証明はされていないが、規則違反が意図的ではなかったことを選手が証明した」ことが、国内手続に加えてCASにおいても認められたものであり、スポーツ法関係者や選手・指導者等にとって参考となる内容が含まれると考えられることから、ここにご紹介します。
- 【資料1】本事案の経過とCAS決定のポイント
- 【資料2】CAS決定文のうち、豊田選手の証言内容・態度や間接事実についての検討・評価部分(原文・和訳)
- 【資料3】CAS決定文のうち、本事案に適用される判断枠組みと判断基準の部分(原文・和訳)
【CAS決定の全文】 10655_final_Award__for_publ._.pdf
(*)弁護団の構成は以下のとおり。
国内手続:望月 浩一郎弁護士、多賀 啓弁護士、工藤 洋治弁護士
CAS手続:望月 浩一郎弁護士、大橋卓生弁護士、多賀 啓弁護士、工藤 洋治弁護士、
棚村 政行教授、飯田 研吾弁護士、金丸 祐子弁護士、
Daniel Allen弁護士
(2025年6月記)
執筆担当者:弁護士 林拓弥